夢物語
 「!!」


 私は飛び起きた。


 「……」


 辺りは真っ暗。


 まだ真夜中だ。


 枕元の携帯で時間を確認すると、まだ午前二時。


 さっき眠りについたばかりのはず。


 ……体中、汗でびっしょり。


 Tシャツにハーフパンツをパジャマ代わりにしているけれど、夏のはじめの暑い夜。


 窓から入る夜風も、あまり意味を持たない。


 「よかった、夢で……」


 長い悪夢から解放された私は、しばらくの間ベッドの上で膝を抱えていた。


 ……あれから何年が過ぎたのだろう。


 いくつもいくつも季節が廻った、はるか昔のことなのに……昨日のことのように何もかもがリアル。


 思い出したくもないはずなのに、こんなに時間が経ってもなかなか色褪せていかない、苦い思い出。
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