夢物語
 嫌な夢だった。


 つらい過去を思い出させる。


 と同時に、自分が犯した罪の重さを改めて思い知らされる……。


 ……。


 あれからはるかな時が流れた今でも、定期的に当時のことが夢となって現れる。


 私がたどってきた道を、再確認させるかのごとく。


 ……彼、私の初めての相手の現在は、どうなっているのかもはや解らない。


 私からもサークルからも、いつしかフェイドアウトしていき、完全に消えていった。


 当時は彼の「逃亡」をひどく恨んだりもしたけれど、家庭内のゴタゴタがそもそものきっかけであり、自業自得であるとはいえ。


 繰り返された仲間(T、S、そしてMなど)の裏切りには私が思った以上に傷ついていたのかもしれない。


 だいぶ後になって耳に入った話によると、奥さんからの抗議の電話はサークル代表者夫妻のみならず、当時の彼の勤務先にまでかかってきたらしい。


 彼の不在のタイミングでかかってきた電話に応対した彼の上司が何とかなだめすかしたものの、この問題は職場での彼の評価に悪影響を与えてしまい、次の人事異動では事実上の左遷を食らう羽目に。


 それで完全に心が折れてしまった彼は、なんと仕事を辞めてしまった。


 その後は実家に戻り、引きこもりになったとの噂も。


 彼の両親は地域の有力者で、土地収入も多かったため、それと両親の年金をあてにした中高年ニートと化したとも。
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