異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
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提督さんがシャワーを浴びるのを待ち、朝食をとってから、私達はデートに向かった。
提督さんはオフなので、今日は軍服ではなく、白いシャツに私と色違いの綿パンという軽装。
そして、風呂上がりの良い薫りというオプションが加算されている。
ハッキリ言って眼福!最高!
最高なんだけど、私と並んで歩くと………兄弟に見えるからなんか切ない。
昨日のワンピをもう一度着るわけにはいかないから仕方ないんだけど、人生初のデートに兄弟コーデで行くことになろうとは思わなかったよ。
でもいいんだ!!
島にいたら絶対出来なかったことを出来るんだから、それだけでもありがたいよね。

部屋を出て、いつものように下層フロアに繋がる階段へ……と、思ったらあれ?
何故か提督さん、真逆の方向へ歩いて行くではないですか。
デートだっていうから、てっきり商業フロアへ行くのだと思ったのに?

「提督さん?どこへ?商業フロアへ行くのでは?」

「いや、今日はな、君が行ったことのないところも案内しようと思っていたんだ」

提督さんは立ち止まって振り返り、手を差し出した。
そのスマートな仕草に、私もごく自然にその手を取り言った。

「わぁ!!それは楽しみです!何処に連れてってくれるんですか?甲板とかにも出れたりします?」

「もちろん。さぁ、こっち。ここから先は初めてだろう?」

はしゃぐ私の手をぐいぐい引いて、提督さんは上層フロア裏手のエレベーターホールに移動した。
ん?エレベーター!?
エレベーターあったの!?
あるなら言ってくれれば良かったのに!
毎日6階フロアまで階段使うの結構疲れるよ?

「エレベーター……あったんですね……」

恨みがましい声を出す私を見て、提督さんは慌てた。
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