【短】今更好きだと伝えてもいいかな…
彼女は大学生で、俺の家の近所の本屋でバイトをしている。
きっかけは向こうの本の取り違え。
それからよく話すようになったんだけど…。
本当は、それよりもずっと前に…密かに気になっていたんだ。


「…なんだって、あんなに可愛いわけ…?」



大学3年生とは思えないくらい、少し幼い顔。
肩くらいまで伸びた髪はゆるいウェーブが掛かっていて、最初見た時はまるで西洋の人形みたいだなって思った。
ふわりと笑う顔に、心底ヤラれてる。


「これが、いわゆる好きっていうやつなのか…」



散々、妄想相手にしておいて今更なんだと言われてしまえば、それまでなんだけれど…今までこんなに気持ちになったことは正直なくて…。
困惑している自分と、そのまま底まで落ちてゆきたい自分のせめぎ合い。


痛いくらいに口唇を噛んで、漣湧き出るイケナイ思いに蓋をする。
でも…叶わぬ約束だっていい。
一緒に今を見つめてくれたなら。
伝えなくちゃならない想いを、譲れないと思う願いを、この手のひらの中にぎゅっと握りしめ、いつかキミにだけ…。
そっと見せてあげたいんだ。


こんな想いに気付いてくれるだろうか…。


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