【短】今更好きだと伝えてもいいかな…
「ちょっと?崇史くん?…本当に真面目に聞いてる?」


ふに、と二の腕辺りを不意を突いて感じた柔らかな感触。
これを、毎度毎度わざとじゃなく、無意識にされてしまうのだから、自分の「男」としての魅力のなさに思い切りへこむ。


「聞いてるよ?だから、もう少し離れてくれないかな…」

苦笑交じりに茶化そうとするけれど、彼女はもっとぎゅうっとくっついてきて、俺の額に自分の手を当ててくる。


「うーん。ちょっと、熱い?風邪かな?大丈夫?」

「いや。風邪とかじゃないよ。大丈夫だから…だから、ちょっと離れて…」

「あ、ごめんごめん。窮屈だったよね…えへへ」


そう言って、俺の本心になんて全く気付かずに無邪気に微笑む、彼女が恨めしい。


少しは、俺の身にもなって欲しいのに。

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