アブナイ王子様たち
さっきまでのムカつく笑みが嘘のように、きょとんとする翔さん。


なぜ悟さんに頼まないんだろう、翔さんは。


「愛海ちゃんはこの家のお手伝いさんだから、もし愛海ちゃんが抜けたら、仕事が早く終わらないでしょ」


「関係ねぇよ、そんなことは。


俺はこいつと文化祭行きたいの」


翔さんがそう言ったと同時に、肩を掴まれて体を引き寄せられた。


翔さんの整った顔が間近に迫ってきて、心臓が大きく跳ねる。


おかしいよ、私。


意地悪で、私のファーストキスを奪った翔さんにドキドキするなんて。


「じゃあ文化祭が終わるまで、愛海ちゃんの仕事は誰がやるの?」


そこが問題だ。


私がいなければ、仕事は終わらない。
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