アブナイ王子様たち
大っ嫌いだから!


心の中でそう叫び、大学生の人たちをぐるぐると見まわす。


だけど、大学生の人たちに、私の心の叫びは届かない。


どんなに心の中で叫んでも、この人たちに届かないなら……。


息を大きく吸い、思いっきり叫んだ。


「勘違いしないでくださーい!」


しーんと静まりかえる、文化祭会場内。


騒いでいた大学生の人たちが、一斉に私のほうに視線を向ける。


翔さんも私をじっと見つめている。


獣のような、鋭い目つきで。


それに気づかないフリをしながら、叫ぶ形で言葉を続ける。


「私、翔さんの彼女じゃありません!


翔さんのこと、好きじゃありません!


私は、翔さんに無理やり連れられたんです!」
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