アブナイ王子様たち
心の中でそうつぶやいた直後。


目を見開いて驚いていた悟さんが、急に不機嫌そうな表情になった。


え……?


あれ?


悟さん……?


「……わけじゃないのに」


ん?


悟さん、なにか言った?


声が小さすぎて、なにを言ったのかわからない。


「悟さん、今、なんて言ったんですか?」


すると、悟さんが、不機嫌そうな顔をこちらに向けた。


そして、口を開く。


「……警戒心が薄いわけじゃないのに」


警戒心が薄いわけじゃない?


ということは……悟さんは警戒心が強いってことなの?


でも、警戒心が強いふうには見えない。


「……愛海ちゃん」


「は、はい」


急になんだろう……。


ついさっきまで、ストーカーのことを考えていたのに、悟さんのことを考えてしまう。
< 537 / 642 >

この作品をシェア

pagetop