👑Emperor bride
カワンは自らチャンクに名乗り
出てチャンクの密偵になった。
それはヨンスンも知らない
城で務めることしかヨンスンには
言っていなかった。

それはエドワードを見守る為には
もって付けの役割だった。

新たな主が出来ても、エドワード
への忠誠は、ゆるがない。

カワンは、手伝い人として入り込み
メイドの躾や教育

厨房の手伝いなど幅広く活躍した。

それは本当の仕事を、誰にも
悟られずヨンスンには話さないと
言うチャンクの思いやりでも
あった。

ヨンスンの、両親も優しい人で
カワンを暖かく迎えてくれていた。

二人の女の子が出来てから
義両親と同居したが仲良く、
過ごしていた。
子供の世話を喜んで引き受けて
くれてエドワードにも本当の
孫のように可愛がり、
成長を喜んでくれた。

エドワードの事も、世間には
自慢の孫だとふれ回り
いっもニコニコしてくれていた。

そのぶん、カワンも仕事に
集中できた。本当の仕事は、
誰にも分からず城の隅々まで
チャンクに伝えることだ。

そして一番気になった事は
エドワードの4つ違いの姉、
明蘭の事だった。
それは、マノリラ国に帰ってからも
カワンを責めていた。

もう少し早く反乱軍に気づいて
いたら旦那様も奥様も逃げ延びた
のではないか?
明蘭様も見失わなければ
エドワードも寂しい思いなど
しなかったのではないか…。

あの、戦乱の中では、
エドワードと二人
逃げ延びたのも奇跡のようなものだ。

自問自答を繰り返しながら
あの日から生きてきた。

チャンクもカワン、ヨンスンも
エドワードも明蘭の行方を
探したが今はまだ見つかって
いない。

まだ張蘭の事は、エドワードにも
チャンクにも話していない。

張蘭が明蘭の子だと、
ハッキリした証拠もない。
エドワードに、から喜びを
させないように。

「早く明蘭様を探し出さないと…。」

琴乃の回復を待ち、探すのは
それからだ、そう呟きながら部屋を
出て行った。


チャンク、エドワード、
ジン、マーク、チャーリーは
琴乃に以た背格好の武術の
達者な者を探したが、なかなか
見つからずにいた。

琴乃の傷も日を追う毎に
回復していった。
パッカリと開いていた腕の傷も
随分と小さくなってきた。

季節は夏も終盤を迎えていた。


ミリアン皇女と父王サムソンが
帰国して1ケ月が過ぎていた。

チャンクもこの親子が琴乃の件に
関わっていると疑い、
何人かの密偵を放っていた。
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