輪舞曲-黒と白のcaprice-
「目的?話す理由はない。それに何当たり前の事を言ってんのよ、部屋から見ても人の気配なんてあるわけ…、いた…っ。」
痛みに顔を歪ませ、二の腕にそっと手を添える。そこからまた新たな血がじわりと滲んでいる。真っ白い包帯が直ぐ様に朱色に侵食されるのを繰り返しており、ゴミ箱には使用済みの包帯が幾重にもなって放置されていた。
『…ごめんね、怪我を負わせてしまって…。手を弛めたつもりだったのだけれども』
「はあ?何を言ってんのよ、あんた、今の自分の状態を考えてから物を言いなさいよ。自分を殺った相手に何を気遣う必要が…」
言いかけて止まる、少女も俺も思考はひとつの考えで一致したからであろう。
『まさかね、幽体離脱なんてね。俺だってそんなのお伽噺の世界だけだと思っていたよ』
けれど、これは信仰など持ち得ていないが神がお与え奉った最期の好期なのかもしれない。最後の任務遂行とそして罪深き自身への贖罪。
『(きっと俺を怨む人間は数知れない。例え御上からの任だとしても、“黒薔薇の騎士”の称号を捨て成り下がり命を奪い続けてきた事には変わりなどありはしないのだから)』