桜の木の下で
何であんなに笑うかな?
恥ずかしすぎて……。
顔が赤いの見られたくない。
早く立ち去らないと……。

「おいっ」

何で追いつくの?
振り向かなくても声で分かった。

「…………」

無視するしかない。
そのまま歩いた。

「おいっ。何で逃げんだよ」

腕を掴まれた。
でも振り向くことができなかった。

「…………」
「なんか言えよ」
「……いっ、嫌だ」
「何が嫌なんだよ」
「ひ、人の気も知らないで……」

言いたくなかったのに。
私のことなんかほっといてくれたらいいのに。

「どういう意味?」
「…………」
「菅田さんには関係ないです」
「じゃぁ、何でそんなこと言うんだよ」
「気にしないでください」
「いい加減、こっち向け」

無理矢理、肩ごと向かさかれた。

「おっ、おまえ」
「だから向きたくなかったのに」

菅田さんの驚いた顔。

「泣いてるのか?」
「放っといてください」

頬に流れる涙を優しく指で拭いてくれた。

「放っておけるかよ」

優しく言われたらもっと泣いちゃう。

「大丈夫ですから」
「そんなわけねぇじゃん」
「さようなら」

私は、走り出した。

菅田さんは、追いかけてこなかった。

これ以上いたら。
自分の気持ちを伝えてしまう。
そんなことしたら迷惑だって分かってる。
自分がいちばん分かってるから。
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