双星の煌めきは月夜に魅せられて
身柄が手しか拘束されていないことに良いことに、私は立ち上がって壁に耳を当てた。
この壁……思った以上に分厚いわね。
足音も何も聞こえない。
それかここは倉庫の離れなのか?
鬼清の倉庫の構造を頭の中で思い出させる。
「あなたは誰?」
「分かってるんだろ、お前何者だ?
まあ、それはどうでもいい。百瀬なずな、今すぐこっちに来い」
「月那ちゃん……っ」
なずなが助けを求めるような眼で私を見る。
大丈夫、ちゃんと助けるから。
そんな意味を込めた目をしながら、私は安心させるように縦に頷いた。
「ねえ、この子に何もしないのよね?」
「……しねえよ」
わずかな目の動きで私はそれは嘘だと判断する。
へえ、私に嘘つくなんていい度胸してるじゃない。