双星の煌めきは月夜に魅せられて
「じゃあ、あたしも連れて行ってよ。わざわざあたしと離すことにメリット感じないんだけど」
「それは……」
「何もしないのなら、あたしも連れて行ってよ?
この子を連れて行ってる少しの間、私は誰の監視の元にいないんだよ?」
なずなにはこれ以上触れさせない。
「……少し待てよ。ゼッテーにここから動くんじゃねーぞ!」
「いい判断だと思うよ。
何も聞こえなかったから防音だと思ってたけど、人がいないだけだものね」
「いってらっしゃーい」と拉致されたにも関わらず立場逆転したかのように微笑んで見送れば、男は悔しそうな顔をして、外へ出た。
流石に鍵をかけて行ったみたいだけど。
「月那ちゃん……っ、びっくりしたぁ……」
「なずな!? 大丈夫!?」
その途端に、なずなの目からポロポロと涙が溢れ出した。
よほど怖い思いをさせたのかな、本当に申し訳ないな。
「月那ちゃんなのに月那ちゃんじゃないみたいで怖かった……っ」
「ごめんね!怒りのあまりカッとなっちゃった!
怖がらせたらごめんね、もう大丈夫だよ!」
「……うん、よかったぁ」