双星の煌めきは月夜に魅せられて


しばらく待っていると足音が聞こえ始めて段々近づいてくる。



「この足音……」



なずなは嬉しそうに私を見た。


複数人の足音、テンポ的には走っている。


きっと朔夜達だ。



「あれ……?」



しかしなずなは大きな足音を聞いて首を傾げた。


おそらく朔夜だけ来ると思っているからだろう。



私も朔夜が来ると安心していた。


鍵が開く音がするまで──



「おう、大人しくしてたみたいだな」



朔夜じゃなかった。


一歩のところで遅れてしまったのだろう。


さっきの人の他に複数の男を引き連れて、部屋に入ってきた。

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