双星の煌めきは月夜に魅せられて






やがて、横たわっている鬼清を見下ろす桜蘭の構図が完成した。



「月那!」



鬼清にも援軍がやってきたのだが、それでも5人で倒せた桜蘭。


しかも今やって来た朔夜はかすり傷で済んで、私となずなの手首に縛られてる縄をほどく。



「えっと……なずなさんも大丈夫?」



なずなを呼び捨てにできない状況は承知だが、さん付けには違和感を感じる。


なずなもそれは同じらしく、戸惑いながらも「私も大丈夫です」と同級生にも関わらず敬語で返事をした。


それでも、安心している表情を浮かべていたので、朔夜も彼女と変わらないくらい安心していたに違いない。



「なあ、お前なんでここにいるんだよ」



そんななずなに桜蘭の赤髪が腕を組み、語気を強くしながら問いかけた。


そんなのお前らのせいだよ。


と突っ込みたくなるけど、何も知らないはずの一般人が知っていたとなればただ事じゃなくなる。



「凛太郎、この子のこと知ってるの?」


「前に今の姫を追い詰めた最低な元姫がいたって話したろ?それがコイツ」



朔夜は顔をわずかにしかめて「ああ、その子が」と冷ややかな声を出した。

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