クールな御曹司と愛され新妻契約
「そこまで、甘えるわけには……」

気が付いたら千景さんの胸に背中を預けていた私は、小さく身を捩りながら、頭上の彼を見上げる。

「甘えてください。俺を困らせるくらい、これ以上にないってほど、たくさん」

私の耳元で優しい響きで囁くと、彼はまるで愛おしいものを見つめるかのように青い瞳を細めて、美しく破顔した。

千景さんから無償の愛のように与えられる、くすぐったいくらいの穏やかな時間に癒される。

それまで考えていた悩み事は、まるで揺り籠の中で守られているみたいな安心感の中、ゆるやかに溶けていった。




状況が一変したのは、翌日の午後だった。

昨夜まで無遠慮にメッセージを送り続けていた幼馴染が、【これで最後の連絡にする】【本当に、三並のことが好きだった】【あいつとお幸せに】という四つの吹き出しの後に、【俺の連絡先はブロックしていいから。今までごめん】と送られてきたのだ。

突然態度がしおらしくなり、しかも謝罪をしてくれた上に連絡先削除を勧めてくれるなんて、普段の幼馴染の様子からは考えられない。
< 106 / 192 >

この作品をシェア

pagetop