クールな御曹司と愛され新妻契約
彼は添い寝だけ、という言葉をちゃんと守ってくれていて、啄むような『おやすみのキス』をしたあとは、互いの慈しむ心を育むようにして手を繋いだまま眠るのが日常だった。

とくり、とくりと安心感のある鼓動が聞こえる中、胸の中に花びらのように降り積もった淡い恋心が溢れ出ぬよう抑えながら、いつものように「おやすみなさい」と伝えて彼を見上げる。

しかし、千景さんは私の双眸をジッと眺めた後、「俺に相談するのは、そんなに嫌でしたか?」と低い声音で切り出した。

「この二週間、なんとなく麗さんの様子が変だったので、俺が強引にベッドへ誘ったせいかと思って、これ以上踏み込むのは遠慮していたんですが……違ったんですね」

拗ねた様子の千景さんに、思い当たることがなかった私は小首を傾げる。
彼は寂しげに唇を尖らせると、腕に力を込め、私をさらにキツく抱きしめた。

「昨夜、あまりにもスマホが鳴り続けていたので……。悪いとは思ったのですが、つい画面に表示されていたメッセージを見てしまいました」
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