クールな御曹司と愛され新妻契約
昆布と酒や塩で味付けをして炊き込んだグリーンピースのご飯は、祝日の今日は特別に土鍋を使ってガスで炊き上げた。

そして本日のメイン料理に取り掛かる。

厚切りのヒレ肉に筋切りをして塩麹で味を付けたら、薄く片栗粉を叩いて、フライパンでこんがり焼いていく。
最後に木の芽を入れると、山椒の良い香りがキッチンに広がった。

サラダと一緒にお皿に盛り付けたら、豚肉の山椒焼きの完成だ。


「よしっ。……冷泉様、ご夕食のご用意が整いました」

テーブルの上に、今日だけは二人分を用意する。

冷泉様の夕飯は作り置きが基本。普段はダイニングテーブルの上か冷蔵庫に入れて、彼が帰宅する前に勤務時間を終えるのだが、祝日なので熱々をご提供する。

この特別勤務が始まった時に『祝日は二人で一緒に夕飯を取りたいんです』と彼に依頼され、もう二年間ほど続けている。

季節の食材について語り合い、時には私の知らないマナーや豆知識などを彼が教えてくれる、私にとっては夢のような時間だった。
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