クールな御曹司と愛され新妻契約
そんな大企業の副社長だからか、冷泉様の毎日は朝早くから夜眠るまで大変忙しいそう。

ご結婚当時からEmilyMaidsのハウスキーパーを雇って下さっているお祖母様から、『孫の生活が心配だから、私の代わりに麗さんに行ってもらいたいの』とご依頼されたことをキッカケに、当時入社したてだった私が彼の担当者として採用された。

冷泉様は目をみはるほどの容姿端麗な御曹司だが、私が採用された当時は『帰宅してゆっくりしている暇はないので』が口癖で、飲み物と言えば自社飲料を冷蔵庫に詰めまくり、作り置きをしている料理も『お皿に移すのが面倒だから、一食分ずつ保存容器にまとめてお弁当みたいにしてもらえませんか』と言い出すほど食生活に疎く、冷淡な方だった。

現在は副社長としての仕事にも慣れて生活にもゆとりが出てきたのか、毎食ちゃんとお皿に盛り付けて食べられており、時には今日のように時間を決めて、ハウスキーパーへの労いと交流を兼ねた食事会をわざわざ〝依頼〟として開催してくだささるほど、担当者教育にも余念が無い。

公私ともに充実されているご様子に、私もハウスキーパー冥利に尽きる、というものだ。
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