クールな御曹司と愛され新妻契約
他愛のない話をしながら夕食を終えダイニングテーブルを綺麗にすると、リビングルームのソファへ移った彼に、モダンな鉄器の急須で温かい焙じ茶とデザートのメロンを給仕する。
後片付けを終えたら普段はすぐに帰るのだが、「今夜は一緒に夜景でも見ませんか?」とご提案いただいたので、有難くソファへ座らせてもらうことになった。
何度も専用クリームで磨き上げきたが初めて腰掛けさせていただいた革張りのソファは、私の実家にあるソファと比較できないほど素晴らしい座り心地だ。
窓からは朱色に輝く東京タワーと、幻想的な色をしたスカイツリーが見えている。
「ふたつも観れるなんて凄い。素敵な夜景ですね」
「そう、ですね。あまり真剣に見たことはなかったんですが……今夜は、そう思います」
冷泉様はどこか苦しそうに眉根を寄せながら、弱々しく微笑む。
今夜はいつもよりもハイペースでお酒を飲んでいるようだったので、お好きな銘柄でお酒が進んでいるのかも? と思っていたけど、もしかすると体調が優れないのかもしれない。