クールな御曹司と愛され新妻契約
「え……? ああ、いえ! 両親と幼馴染が盛り上がっているだけで、まだ結婚なんて具体的なお話じゃないんです」

そんな彼に魅入ってしまった私は、一拍おいてから、丁度自分が考えていたことを冷泉様に話題にされたのだと気がついて、思わず慌てふためく。

先日、冷泉様のお祖母様のご自宅でお仕事をしていた最中、先輩が『結婚が決まりました』と奥様へご報告していた時の流れで、『麗さんは結婚のご予定はあるの?』と質問された際に、
『実は今、両親と幼馴染の間で勝手に決められつつある縁談に悩まされているところなんです』
と話題に出したものが、もう冷泉様に伝わっていたらしい。

「先月たまたま父が仕事先で私の幼馴染と再会して、私のことを『恋人もいない上、ハウスキーパーになった』なんて言ったみたいなんです。
それで『二十六歳までに貰い手が見つからなかったら俺が貰いますよ』って幼馴染が言い出したみたいで、両親はそれを真に受けて大喜びしちゃって……」

隣の家に住む同級生の幼馴染とは中学生くらいまでは人並みに仲良しだったが、高校生の時に罰ゲームで告白されて以来、ずっと疎遠になっていた。
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