クールな御曹司と愛され新妻契約
千景さんは小さく微笑むと、婚約指輪を再び私の薬指へ滑らせる。
それから手の甲に「ちゅっ」とリップ音を立ててキスをしてから立ち上がると、長い指で私の目元をそっと拭う。
「泣き虫な妻が可愛くて困る」
「ううっ」
泣き声に混じり、ひくっひくっと嗚咽が漏れる。
彼はそんな私の泣き顔を愛おしそうな表情で見つめると、心底幸せそうな声音で呟く。
それでも全然止まらない涙の雨が、喉をきゅーっと締め付ける。
千景さんはおもむろに私を抱き上げると、スイートルームのリビングへ連れ去り、ヨーロピアン調のソファへ下ろした。
目の前にあるテーブルの上には、一枚の婚姻届が置いてある。
それは私の名前が黒く滲んだものではなく、妻の欄以外が全て埋まった新しいものだった。
証人の項目には、三並家の両親直筆の署名が。
と、いうことは……この二枚目の婚姻届を、千景さんは、実家に!?
目を丸めて、隣に腰掛けた彼へ視線を戻せば、「昨夜、全部お話してきました。お義父さんには随分怒られましたけどね」と、千景さんは悪戯が見つかった少年のように反省した表情で、肩を竦める。
それから手の甲に「ちゅっ」とリップ音を立ててキスをしてから立ち上がると、長い指で私の目元をそっと拭う。
「泣き虫な妻が可愛くて困る」
「ううっ」
泣き声に混じり、ひくっひくっと嗚咽が漏れる。
彼はそんな私の泣き顔を愛おしそうな表情で見つめると、心底幸せそうな声音で呟く。
それでも全然止まらない涙の雨が、喉をきゅーっと締め付ける。
千景さんはおもむろに私を抱き上げると、スイートルームのリビングへ連れ去り、ヨーロピアン調のソファへ下ろした。
目の前にあるテーブルの上には、一枚の婚姻届が置いてある。
それは私の名前が黒く滲んだものではなく、妻の欄以外が全て埋まった新しいものだった。
証人の項目には、三並家の両親直筆の署名が。
と、いうことは……この二枚目の婚姻届を、千景さんは、実家に!?
目を丸めて、隣に腰掛けた彼へ視線を戻せば、「昨夜、全部お話してきました。お義父さんには随分怒られましたけどね」と、千景さんは悪戯が見つかった少年のように反省した表情で、肩を竦める。