ストーカー
ご飯なんて喉を通らない。


飲み物がせいぜいだ。


「俺はパンケーキにしようかな。遙ちゃん、半分こする?」


そう聞かれても、あたしは返事ができなかった。


西村君はなんの用事であたしを呼び出したんだろう。


またあの部屋に連れていかれたら?


そう思うと、怖かった。


「今日は……どうして呼んだの?」


店員に注文してから、あたしは勇気を振り絞ってそう聞いた。


「デートするのに理由がいるか?」


そう聞かれて、あたしは黙ってしまった。


デートに理由なんていらない。


でもそれは、普通のカップルの場合だ。
< 198 / 244 >

この作品をシェア

pagetop