無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「こんにちは、岩沢さんと……陽菜さん、ですよね?」
その声にドキッとして振り返ると、いつもの常連の人がいつもの作り笑いをして立っていた。
自然に見えるように然り気無く陽菜を背中に隠すように立ち位置を変えると、目の前のその人はすっと目を細めた。
「悪いけど、今日は後ろの人に用があるんだ。
退いてくれるかな?」
「……陽菜さん、この人知り合いですか?」
念のために小声で聞いてみるが、陽菜は何度も小さく首を振って怯えているようにも見えた。
知り合いでもない男性に突然名前を呼ばれ、用があると言われたら誰だって恐怖を感じるだろうと、真未は顔を正面に向けると真っ直ぐ常連の男を見据えた。
「この人はあなたのことを知らないようですが?」
「……随分昔に会ったっきりだから忘れてしまったのかもしれないね」
「いつどこで会ったんですか?詳しく話してくれたら思い出してもらえるかもしれないですよ?」
さあ、早く言ってみろ。と言った感じに眼力で威圧しているその後ろで、陽菜はスマホを取り出して震える手で必死にどこかに連絡をしているようだった。
「っ……とにかく、後ろの人に用があるんだ!」
早く退けと言わんばかりに伸ばしてきたその腕を咄嗟に掴むと、真未はその腕の急所となる部分を思い切り押した。
すると、男は激しく痛がり身動きが取れなくなったので、ああ、ごめんなさい?と手を離した。
その声にドキッとして振り返ると、いつもの常連の人がいつもの作り笑いをして立っていた。
自然に見えるように然り気無く陽菜を背中に隠すように立ち位置を変えると、目の前のその人はすっと目を細めた。
「悪いけど、今日は後ろの人に用があるんだ。
退いてくれるかな?」
「……陽菜さん、この人知り合いですか?」
念のために小声で聞いてみるが、陽菜は何度も小さく首を振って怯えているようにも見えた。
知り合いでもない男性に突然名前を呼ばれ、用があると言われたら誰だって恐怖を感じるだろうと、真未は顔を正面に向けると真っ直ぐ常連の男を見据えた。
「この人はあなたのことを知らないようですが?」
「……随分昔に会ったっきりだから忘れてしまったのかもしれないね」
「いつどこで会ったんですか?詳しく話してくれたら思い出してもらえるかもしれないですよ?」
さあ、早く言ってみろ。と言った感じに眼力で威圧しているその後ろで、陽菜はスマホを取り出して震える手で必死にどこかに連絡をしているようだった。
「っ……とにかく、後ろの人に用があるんだ!」
早く退けと言わんばかりに伸ばしてきたその腕を咄嗟に掴むと、真未はその腕の急所となる部分を思い切り押した。
すると、男は激しく痛がり身動きが取れなくなったので、ああ、ごめんなさい?と手を離した。