過去の精算
閉店後、カウンターで舞さんと飲んでいた筈なのに、眼が覚めるとなぜか昨日と同じで、奥の控え室のソファーの上だった。
ん?
どうして?
喉の渇きにお水を飲みに店内へ行くと、舞さんが片付けてくれたのか、カウターの上も中も、綺麗に片付いていた。
昨夜(今朝方)何を話したか覚えて無いけど、随分クダ巻いた気がする。
後で舞さんに謝らないと…
それにしても、連日酔い潰れるなんて…
ここ(ライオン)だから良いものの、他の店じゃ出来ない。
来月にはここも出て行くのだから、気をつけなきゃいけない。
掃除も終わったし、さぁ、ひとっ風呂行ってきますか!
着替えを持って、私は昨日と同じ松の湯へと向かった。私は暖簾をくぐる前に小銭を確認して、引き戸を開ける。
「いらっしゃい」
昨日と同じで優しいおばあちゃんの声。
「おばあちゃん、こんにちわ!」
“ ここに入れるね? ” と言って、100玉を2枚、200円を木箱に入れる。
すると、“ 有難うね ” と、おばあちゃんから返ってきた。
おっ生きてる!
あっ違う違う、起きてた!
おばあちゃんからの返事が聞けて、少し嬉しくなる。
そう言えば、ヒロ君大丈夫だったかな?
いつも仕事終わりのこの時間に、松の湯に入りにくると彼等は言ってた。
昨夜、あの後大丈夫だったか気になっていた。
ヒロ君達が来てるか、番台へと身を乗り出し男湯の方を覗いてると、男湯の戸がガラガラと音を立てて開いた。
「いらっしゃい」
「あれ、おねぇさんまさかの覗き?」
そう言ったのは、トミー君だった。
「ち、違う! 覗きなんてするわけないでしょう!
それより、昨夜ヒロ君大丈夫だった?」
私の質問に渋い顔をするトミー君に、私は不安になる。
「ヒロ君に何かあったの?」
トミー君は首を横に振り、ため息をついた。
「アイツ凄く荒れてさ、今日仕事も休んだんだ」
「えっ! そんなに酷かったの?」
心配になった私は番台の前にあるイスに座り、つい立越しにトミー君と少し話す事にした。