過去の精算

「キャサリンさんは、ヒロの事どう思います?」

「どうって?」

「ヒロ、多分キャサリンさんの事好きですよ?」

「私も好きよ?
ヒロ君の事も、トミー君の事も! それから林君の事もね?」

「そうじゃなくて、男としてどう思います?」

男として…
それって…舞さんが昨夜話していた事と同じって事?

「ヒロの両親離婚してるんですけど…」

トミー君の話だと、ヒロ君の両親は彼が小学生の時に離婚しているらしい。
大好きだったお姉さんは、母親について行き、ヒロ君は父親に引き取られ、仲の良かった姉弟は離れ離れになってしまった。
その為か、大好きだったお姉さんと彼女を何かと比べてしまい、彼女にシスコンだと馬鹿にされフラれてしまったと話してくれた。

彼女の気持ちも分からなく無い。
好きな人に誰かと比べられるのは辛い事だ。
況してや、彼の大好きなお姉さんなら、勝てる気はしないだろう。
小さい頃の彼のお姉さんは、とても素敵な人だったのだろう。

でも、思い出は不純物だらけだと言う。
辛い思い出はより辛く、そして美しい思い出はより美しく残ると言う。
当時小学生だったヒロ君には、美しい思い出だけが強く心に刻まれているのだろう。
だから、彼女に理想的なお姉さんの様な女性を求めてしまうのかもしれない。

「ヒロとお姉ちゃんとは9つ離れてて…」

私とも随分離れてるから、お姉さんの影を私に重ねた訳か…

「私、ヒロ君の事そんな風に見れない。
って言うか、ヘタレ過ぎる男って嫌いだから!」

「え?」

「ヘタレ過ぎるでしょう?
何時迄もお姉さんの影追いかけて?
どう言う事情で、彼女と付き合う事になったか知らないけど、付き合うと決めた時点でその子の事見てあげなきゃ!
他の女と比べるくらいなら、初めから付き合うな!ってんの!」

私は胸糞悪いと言って、お風呂へ入った。




< 141 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop