過去の精算

「いらっしゃいませ!ゥそ…」

「モーさんいらっしゃい!」

「キャサリンちゃん、今日はお客さん連れて来たよ?」

事務長が連れて来たお客さんは、前谷君だった。

なんで…

「キャサリンちゃん、こっちこっち!

事務長は、私を二人の真ん中に触れという。

「紹介しよう!
うちの病院の若先生だよ?」

も、勿論知ってますとも!
でも、どうしよう…
バレる?
でも、毎日会ってる事務長にばれなかったんだから…
なんとかなるかも…?

「はーぃ!
私、キャサリンどぇす!
ヨロシクでーす!」

私は意を決して、意識的にテンション高く挨拶すると、事務長と前谷君の間に入り、体を事務長の方へ向けて座った。

「キャサリンちゃん、今日はいつもより元気だね?」

「はーい!
キャサリン、モーさんに会えて嬉しいです!」
と、私は事務長へ抱きついた。

ちょっとやり過ぎかな?
でも、バレるとまずい。

「君、いつから働いてる?」
前谷君の質問に、聞こえてないふりをする。

「モーさん、いつもので良い?」

「おい! いつから働いてる?」

一度は聞き流していたが、流石に二度目はマズイと思い、彼に背中を向けたまま答えることにした。

「え、えーと…」

「答える時は、
聞いた者の方を向いて答えるべきだぞ?」

「・・・désolé(ごめんなさい)…フランスから来ました
い、一年まえ…」

「一年まえね…?
フランス人は、日本人の様に直ぐには謝らないと聞いてるが?」と言って、彼は私の顔を覗き込んだ。

あー多分
バレてるよ…

「・・・・・」

なんと答えようかと思っていると、事務長が助けてくれた。

「若先生、キャサリンちゃんは、フランスと日本のハーフなんですよ?
見かけと違って、とても古風なところもあって、凄く良い子なんですよ?」

「古風な者が、こんな所で働くかねぇ?」

それは偏見というもの!
誰しも切羽詰まり追い詰められたら、どんな仕事だってするし、水商売で働いてる者の中にも古風な考えをもってる人も居る。

「親の残した借金があるそうで、頑張ってるんですよ?
若先生も、キャサリンちゃんを贔屓にしてあげてくださいよ?」と言う事務長に、思わず溜息が出そうになる。

もぅ! 事務長余計な事言わないでよ!

「へぇー 親の借金ねぇ?」
前谷君はそういうと、クスクスと笑った。

絶対バレてる…




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