過去の精算

1時間近くなっても、前谷君はお風呂から出てこなくて、心配になって覗きに行くと、彼は湯船の中に沈んでいた。

「前谷君!
前谷君しっかりして!」

抱え出そうとしたら、逆に、湯船の中に引きずり込まれてしまった。

「キャッ!
もう、何やってるの!
バカ! 死んでるのかと思ったじゃない!
んっ!んー…」

彼は急に私の唇を、自分の物で塞いだ。
熱い彼の舌が私の口内を弄り、私へと熱を伝える。
私は苦しくなり、彼の体を叩いても、彼は止めることなく、私の舌を絡め取ろうとする。

なんで、何もしないって言ったのに…

頭が朦朧としてきた時、やっと彼は私を離し、哀しそうな眼をしてこう言った。

「俺が死んだら悲しむか?」

「当たり前でしょ!! 馬鹿!
豆腐の角で頭ぶつけて死んじゃえ!」

彼はごめんと言って、私を抱きしめた。
顔は見えないけど、私には彼が泣いてる様に見えた。

「ねぇどうしたの?
何か悩み事? 私で良かったら聞くけど?」

「有難う…
ホント何でもない。
ごめんな? 何にもしないって言ったのに…
約束破って?」

「それは良いけど、もう出たら?
これ以上入ってるとホントヤバイよ?」

「そうだな…」

フラついてる彼を支えて、風呂場から出すと、水を飲む様に言って、私はそのままお風呂に入った。

やっぱり、彼の様子変だったよねぇ?
MRの画像見てからだよね?
やっぱり、子供が亡くなったと知ってショック受けたのかな?
私だってショックだったし…
もしかしたら、前谷君なら助けれたかもしれないもんね…?
ううん。きっと彼なら助けれたと思う。

お風呂から出ると、前谷君の様子は、元に戻っていて、特に変わりはなかった。

「水分取った?」

「ああ、冷蔵庫の中から貰った。
なぁ?」

「ん、なに?」

「どうして…」

やっぱり何かあるの?




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