独占欲強めの部長に溺愛されてます

空からは矢のように滴が降り注ぐだけ。地面を跳ねていた雨が、早々に水たまりを作っていく。


「止まなかったら困りますね」
「そうだな」
「部長、さっきから〝そうだな〟ばっかり」


思わず笑いながら見上げると、加賀美の涼しげな目とぶつかった。

その目が優しく細められ、ドキッとさせられる。


「俺はもうしばらくこうしていてもいいけど」


リードを握っている左手にハンカチを持ち替え、加賀美の右手が野々花の頬に触れる。

(……え?)

加賀美の言動が理解できず、野々花の身体が硬直する。雨のせいか、触れた指先が冷たい。


「ここ、あったかいな」
「そ、そうでしょうか」


鼓動が暴れて収集がつかない。加賀美の顔を見ていられずに俯くと、親指が唇に触れた。

その指がゆっくりとなぞるように動き、心拍がさらに速まっていく。全身の血流が二倍にも三倍にも感じた。

< 111 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop