独占欲強めの部長に溺愛されてます
「そんなことを言ってる場合じゃない。ほら、行くぞ」
加賀美は野々花の肩を抱き、支えるようにして歩きだした。
「すみません……」
遠慮する気力も体力もなく、野々花はそのまま加賀美に身体を預ける以外にない。
エントランスから外へ出ると、タイミングよく乗客を降ろしたタクシーにふたり揃って乗り込んだ。
自宅の住所を告げ、目を閉じる。加賀美の手が額に触れたのに気づいて薄っすら瞼を開けると、「熱もあるな」と心配そうな彼の顔が目に入った。
「着いたら起こすから、寝てな」
その言葉に甘え、野々花は車の揺れに身を任せた。
頭を打ち鳴らす大きな鐘の音のその向こうで、なにやら人の話し声がする。それを遠い意識の中で聞いていた野々花は、振動が小さくなったと気づきハッとして目を開けた。