独占欲強めの部長に溺愛されてます
「五百六十円のお返しです。ありがとうございました」
タクシーの運転手と加賀美がやり取りをしていたのだ。
「あ、あの、お金」
慌ててバッグをごそごそと漁る野々花だが、加賀美に「そんなのあとでいいから。ほら、降りるぞ」と腕を掴まれた。
タクシーの中で払う、払わないの言い合いをするわけにはいかない。野々花は加賀美に従い、車から降り立った。
腕を掴んでもらっているはずなのに、それでも足がふらつく。床が波打っているように見えた。
「大丈夫か?」
「……はい」
そう答えたものの、そこから歩けない。
すると次の瞬間、野々花の身体がふわりと宙に浮いた。
「ぶ、部長!?」
「歩けないならこうするしかないだろう」
なんと、加賀美は野々花を抱き上げた。