独占欲強めの部長に溺愛されてます
「えー! そうなんですかぁ? ざんねーん。誰ですか? 私の知ってる人ですか?」
「さぁ、どうかな」
さらに突っ込む瑠璃を加賀美ははぐらかした。
(部長、好きな人がいるんだ……)
そうなると、野々花の失恋はさらに濃厚になる。
複雑な想いでふたりのやり取りを眺めていると、不意に加賀美と目が合った。
妙なタイミングだったため、ドキッと鼓動が弾む。
ただ単に視線を流した先に野々花がいただけ。そうわかっていても、この頃の野々花は加賀美にドキドキさせられっぱなしである。
しょんぼりと肩を落としながら瑠璃が自分の席に戻ったのを見計らい、バッグの中から缶コーヒーを二本取り出した。
今度は野々花が加賀美のデスクへ向かう。手にしたそれは、いつも加賀美が好んで飲んでいるコーヒーだ。
「部長、おはようございます。昨日はいろいろとありがとうございました」
「いや。今朝は顔色もいいな」
「はい。本当にありがとうございます」