希望の夢路
「心愛ちゃーん!博人!来たわよ〜!


明るい声で、目を覚ます。
この声は、ほのちゃん?

あれ?今何時ー

「おはよ、心愛ちゃん。もう十一時だよ」
「十一時…」
え?十一時ってまさかお昼…!?

「えええーっ!?もうお昼なの!?」

私はベッドから飛び起きた。
ぐっすり寝てしまった。
でも、起きられない。
何故なら彼がー

「おはよ…心愛ちゃん」

そう私の耳元で囁いて、熱い吐息を私の顔に吹きかける。
くすぐったいし、何よりドキドキする。
高まる鼓動が、治まりそうにない。

「博人〜?心愛ちゃん?どこ?」

ほのちゃんが、私と彼を探している。
ほのちゃんと遥香さんが遊びに来るとは聞いていたけれど、彼は私と寝室で戯れている。
「ひろくん…ほのちゃんが探してるから」
そう言って彼から身をよじり離れようとするけれど、あえなく失敗。
「だめだよ。絶対僕は、君を離さないんだから」
そう言って、彼が私の肩を優しく撫で回す。
やだ…気持ち良い…というか、
くすぐったいよ。
どうしよう。
彼の逞しい手が、私の肩を滑る。
彼の指が私の肩に触れるたび、
ドキドキして苦しくなってくる。
「ん…」
「声を出すなら、小さくね…保乃果にばれるから」
「そ、そんな、…んっ、」
私は彼の両腕を両手で掴んだ。
彼は今、私に覆いかぶさっている。
私が一番好きな、彼の体勢。

私は彼を見つめた。
彼は、私をじっと見つめてくれているだろうか。

「博人〜って、わあ!?ええっ!?ちょ、ちょっと待って!」
ほのちゃんが、私の彼のいる寝室のドアを開け入ってきた。
ドアを開けて直ぐに、彼が私に覆いかぶさっていて、彼の腕を私の手が掴んでいるところを見てしまったほのちゃんは、ああ!と声を上げた。
ほのちゃんは、今一体どんな格好をしているの?どんな顔をしてる?
「保乃果は、一瞬固まった。
そして、ああ!と言って顔を両手で覆っている。そして覆った手の隙間からちらりと僕と心愛ちゃんを見ている」
「い、いや、ちょっと!なに報告してんのよ!恥ずかしいじゃない!」
彼は、私が見えないからと、わざわざ説明してくれる。
そういう優しいところが、好き。
「ありがとう、ひろくん。教えてくれて」
「いいえ。どういたしまして」
「…あのねえ、二人して見つめあって、しかも私の様子をいちいち報告して。しかも心愛ちゃんも心愛ちゃんよ!
なんで私の様子を報告した博人にお礼言ってんのよ!」
全く、意味がわからないと保乃果は口を尖らせているよ、と彼がまた教えてくれた。
「だから!いちいち報告しなくていいってば!まったくもー!」
「ほのちゃん、頬膨らませてる?」
「うん、膨らませてる」
彼があはは、と笑った。
ほのちゃんはというと、
「あのねえー!だからやめてってば!」
と不貞腐れている。
「ふふ、ごめんねえ、ほのちゃん」
「…仕方ないなあ。心愛ちゃんの笑顔に免じて許す」
ほのちゃんの溜息が聞こえてきた。





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