もう、我慢すんのやめた
すげぇ説教されんじゃん、俺。
これでも一応、女性恐怖症なのに、安藤のせいで悪化したらどうしてくれんだよ。
『自分の気持ち、押し殺して我慢したって、得られるものはなんもねぇぞ』
家を出る前の兄貴の言葉とリンクする。
あぁ、みんなしてすっげぇお節介。
ズルズル終わりの見えねぇ片想いするつもりだったのに。こんなに言われたら、会いたくなる。
「……芽唯にとっての幸せが自分かもしれないってことも含めて、もっかいちゃんと見つめ直せ」
「俺……?芽唯の幸せが?」
会って、確かめたくなる。
芽唯にとっての幸せが、なんなのか。
諦めたくなくなる。
1ミリでも、1ミクロンでもいい。
もし、俺にまだ可能性が残ってるなら、俺は芽唯の手を今度こそ離したくねぇ。
「私は、芽唯が大好き。佐倉なんかに負けないくらい。転校生に横から取られるなんてすっごい不覚。だけど、そんな私が頑張れって言ってんの!しっかりしろ佐倉海登!」
「っ、どこの水族館?……芽唯のこと奪ってくる」
勢いよく立ち上がった俺を見て、安藤とテツが小さく笑う。コイツらの幸せまで俺に託されたら、もう行くしかねぇだろ。
───やっぱり俺、芽唯だけは諦めたくねぇ。