もう、我慢すんのやめた


「行け。今すぐアイツんとこ行って、俺との誤解解いて、今度こそ幸せになれ。……じゃないと、散々邪魔した俺が、この先死ぬほど後悔する。だから、これはずるい俺からの最後の頼み」


私の手からドロドロに溶けたソフトクリームを奪った弥一は「ほら、早く」と、急かす。


残りのソフトクリームを食べる時間さえくれないの?って、冗談の1つや2つ言ってやりたいのに。



「ズルい……っう、……散々ズルいことしたのに、最後の最後でこれは、……っズルすぎ」


私の口から出たのは、そんな文句。



「泣くなよ。俺が泣かせたみたいだろ?」

「弥一、が……泣かせ、ったでしょ?」



だから、早く治そうと頑張ってくれてたの?
だから、松葉杖が取れたらデートしようなんて言ったの?


初めから、全部。
弥一は今日に、私の背中を押してくれるつもりだったの?


「俺の気が変わらないうちに、早く行けって。あんま泣かれたら抱きしめたくなる」

「……っ、困る」

「困るとか言うなよ!可愛くねえやつ」


フハッと笑った弥一の両手にはドロドロに溶けたソフトクリームが2つ。それがおかしくて、私も笑ってしまう。ありがとね、弥一。


もう、嫌われたかもしれないけど。
まだ何一つ佐倉に自分の気持ちを伝えられてないから。


───やっぱり私、佐倉のこと諦めたくない。
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