もう、我慢すんのやめた


***


水族館を出て、そういえば……とショルダーバッグを漁る。


萌菜から連絡来てるかも、と電源ボタンを押せば通知欄に出ている名前にドキッとした。


【佐倉海登:今から会える?】



時間を確認すれば、まだ5分ほど前に送られてきたばかりで。急いで返信をしようとメッセージを開く。


けど、


打っては消して、打っては消して。
なんて送ったらいいかサッパリまとまらない。


言いたいことが、次々と浮かんでくる。
あれも、これも……全部打ち込んで、でもやっぱり直接顔みて言いたいって。



「……早く会いたいっ」


ドキドキする胸を抑えて、
逸る気持ちを抑えて、

震える指で通話ボタンを押した。



やっと弥一との関係に終止符が打たれた今、私の気持ちを阻むものはなくて。だけど、佐倉の気持ちはもう変わっちゃったのかもしれないって思うと、不安が募る。



耳元でコール音が鳴り響いて、私の緊張は最高潮。
出て欲しい気持ちと、出たらなんて言おうって気持ちが入りまじる。
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