おじさんは予防線にはなりません
こわごわ見上げると、池松さんの顔が見えた。
笑っている、けど眼鏡の奥の目は怒っている。

「だって、羽坂さんが」

「ねえ」

村田さんと布浦さんは目配せしあい、ばつが悪そうに視線を泳がした。

池松さんの支えからひとりで立つ。
あんなに燃えていた感情は、一気に鎮火していった。
いくら池松さんの悪口に腹が立ったからって、私はなんてことを。

「話はどちらからも聞く。
君たちは会議室で待ってろ。
羽坂は俺と一緒に来い」

「……はい」

「……」

「……」

返事をした私と違い、ふたりは黙ったままふて腐れていた。
そのまま動こうとしないふたりにちっ、池松さんが小さく舌打ちする。
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