おじさんは予防線にはなりません
派遣に育休がないのは不利だが、時間は社員に比べて融通が利く。
そういう面ではできそうな気がしたが、それ以前に既婚男性を好きになるという不毛な恋をしている私には、結婚なんて縁がない。

そんなことを考えて、ちょっと虚しくなってきた。

「そーだよなー。
旦那の理解もないと大変だよな」

池松さんの声がどこか他人事なのは気のせいかな。

「池松さんのところはどうなんですか?
奥様も働いてますよね」

「あー、うちは……」

池松さんの視線がどこでもない宙を見る。
なにかまずいことでも聞いちゃった?

「互いに好きなことしてるからな。
メシはほとんど別々だし、掃除や洗濯は気が向いた方が、というかほとんど俺がしてる。
もっとも妻と俺は生活時間がほとんど合わないから」

はははっ、力なく池松さんは笑った。
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