おじさんは予防線にはなりません
「いいですよ、これくらい」

私が笑って領収書を受け取り、池松さんはぱぁーっと顔を輝かせた。

「やっぱり羽坂は優しいな。
今度、お礼に昼メシに……。
あ、いや」

言い掛けて池松さんは慌ててやめた。
彼氏持ちの女の子を食事に誘うなんて非常識なことはできないと思ったのかな。

「今度、お礼にお昼ごはん連れて行ってください。
ほら、あのハンバーグ、食べたいです」

「……いいのか?」

やめた言葉を私が言うと、池松さんは眼鏡の奥からうかがってきた。

「はい。
大丈夫ですから」

「そうか」

私が笑うと池松さんも笑ってくれて、……やはり私はこの人が好きだ。
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