おじさんは予防線にはなりません
なんの飾りもないシンプルなプラチナの指環は、奥さんの趣味なんだろうか。
「指環かー。
女除けにつけてみるかな」
冗談めかして笑う、宗正さんの瞳の奥は全く笑っていない。
「……冗談だよ」
ぼそっと私の耳元で囁いた宗正さんを見上げると、もうすでになんでもない顔で別のところを見ていた。
宗正さんがひとりで指環をつけたって、社外はいいが社内では意味がないのだ。
――付き合っていることになっている、私が一緒につけないと。
宗正さんと一緒にイヤリングを見ながら考えてしまう。
もし、もしも。
私が宗正さんとペアの指環をつけたなら。
――池松さんはどうするんだろう。
少しくらい、嫌な気持ちになって欲しい……というのは私の希望だ。
「指環かー。
女除けにつけてみるかな」
冗談めかして笑う、宗正さんの瞳の奥は全く笑っていない。
「……冗談だよ」
ぼそっと私の耳元で囁いた宗正さんを見上げると、もうすでになんでもない顔で別のところを見ていた。
宗正さんがひとりで指環をつけたって、社外はいいが社内では意味がないのだ。
――付き合っていることになっている、私が一緒につけないと。
宗正さんと一緒にイヤリングを見ながら考えてしまう。
もし、もしも。
私が宗正さんとペアの指環をつけたなら。
――池松さんはどうするんだろう。
少しくらい、嫌な気持ちになって欲しい……というのは私の希望だ。