おじさんは予防線にはなりません
「指環、買お?
お揃いの」

「……自分がなに言ってるかわかってる?」

いつもはほやほや軽いのに、宗正さんの声はずっしりと重い。

「わかってるよ。
でも大河は女除けになるし、私にだってメリットはある。
……だから」

都合のいい詭弁だってわかっている。
けれど私はその保険が欲しかったのだ。

「……わかった」

宗正さんは私の手を掴んで店を出ていく。

「大河!
指環買うんじゃないの!?」

「買うよ?
でもペアの指環を買うってことがオレにとってどういう意味か、詩乃にわかって欲しい」

ビルも出て宗正さんが私を連れていったのは、ハイブランドまではいかないが、ブライダルジュエリーも展開しているブランドショップだった。
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