おじさんは予防線にはなりません
「どれがいい?」

ショーケースの中には、片方だけでさっきのお店のペアを買っても優にお釣りがくるリングが並んでいる。

「やっぱり……」

「詩乃はどんなのが好き?
……あ、これ、見せてもらえますか」

宗正さんは私の話なんか聞かずに指環を選びはじめた。

笑っている、けど確実に宗正さんは怒っている。
ここまできてやっと、自分の軽率な考えを反省した。

宗正さんにとってペアの指環をつけるというのは女除け以上に大切な意味がある。

なんでそれを考えなかったのか、自分が情けなくなる。
ほんとに私は……最低な女だ。

「……大河。
私みたいな最低な女に、そんな指環買うことないから」

俯いた視界に宗正さんに握られた右手が滲んで見えた。

「もう遅いよ、買うって決めたから。
詩乃には俺の気持ち、しっかり受け取ってほししい」
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