おじさんは予防線にはなりません
「アイスティで」

店員を呼んだというのに宗正さんはまだ、メニューを睨んでいる。

「アイスコーヒーと……このレアチーズベリーパンケーキと、シトラスヨーグルトパンケーキ。
以上で」

「かしこまりました」

店員がメニューを下げていなくなり、宗正さんはぶーっと唇を尖らせた。

「詩乃また遠慮したー。
遠慮禁止ー。
……でもそういうところが好きなんだけど」

眩しそうに目を細めてうっとりと見られると、頬に熱があがっていく。
なにも言えなくなって俯く。
すっと、目の前にさっき買った指環のケースを置かれた。

「手、貸して?」

「あ、うん」

テーブルの上に差し出した右手はプルプルと震えている。
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