おじさんは予防線にはなりません
閉じていた目を開けると、泣き出しそうな大河の顔が目に入ってくる。

「無理、しなくていいから」

そっと大河の手が私の顔を撫で、初めて自分が泣いているんだと気づいた。

「……無理とかしてないよ?」

大河が私から離れるから、緩んでいた浴衣の襟を掻きあわせて身体を起こす。

「うん」

「だって私は、大河が好きなんだから」

「うん」

「私は大河が、好き、だから……!」

「うん、わかってるから」

苦しそうに顔を歪ませ、大河は自分の胸に私の顔を押しつけた。
そのまま思いっきり泣きかけて……躊躇した。

私は大河の気持ちに甘えている。
そんな私が、ここで泣いていいのかな。
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