おじさんは予防線にはなりません
池松さんがいない時間を見計らって、本多課長のところへ行った。

「本多課長。
お話があります」

「……なんですか……改まって……」

相変わらず本多課長は、書類とカタログの壁の向こうで、ぼそぼそと話した。

「今月いっぱいで辞めさせてください」

「はいっ!?」

彼にしては珍しく、弾かれたように椅子から立ち上がる。
目はこれ以上は無理なんじゃないかというくらい、大きく開かれていた。

「いま、なんと?」

「今月いっぱいで辞めさせてほしいんです」

はぁーっ、聞いているこっちが陰気になりそうなため息を落とし、すごすごと本多課長は椅子に座り直した。

「……私の一存では……なんとも……。
……外川部長に……相談してみないことには……」
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