おじさんは予防線にはなりません
彼は眩しそうに目を細めて私を見ていた。

「十四も年上のおじさんとか嫌かもしれないが。
――結婚してほしい」

真摯に、池松さんが私を見つめる。

「知ってましたか?
私って意外と、おじさん好きなんです。
だから宗正さんを好きになれなかった」

「そうだったな」

今度こそ、池松さんに促されて席を立つ。
その足で役所に行って婚姻届を出した。

「これからよろしくな、詩乃」

「はい」

いろいろ……本当にいろいろあったけれど、これから私は、この人と幸せになる――。



指環は買ったけれど、式は挙げないことにした。
質素にしたいっていうのが、池松さんの希望だったから。
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