おじさんは予防線にはなりません
ウェディングドレスを着たくなかったかっていわれると嘘になる。
でも池松さんと一緒になれただけで十分だった。


すぐに、池松さん――和佳さんの家へ引っ越した。

「詩乃は座ってていい。
俺が全部やるから」

私のアパートに来て和佳さんは袖捲りし、やる気満々だけど……大丈夫、なのかな。

「でも……」

「大事な身体なんだ。
無理はするな」

私を座らせて、和佳さんはてきぱきと荷詰めをはじめた。
といっても、下着なんかを詰めてもらうのは気が引けるし、私じゃないと判断つかないことも多い。
でも、私がちょーっと重いものを抱えようとしただけで、すぐに止められた。

「ダメだって言っただろ」

「はい……」
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