おじさんは予防線にはなりません
出されたおしぼりで手を拭きながら笑う池松さんに、苦笑いしかできない。
おじさんじゃなくてもこういうお店なら、男性は二の足を踏んでしまうだろう。

メニューを手に悩む。
ひとり暮らしで派遣は結構カツカツだ。
セットのデザートがおいしそうだと思いながら諦める。
せめてサラダセット、いやいや最悪、ドリンクセット……と悩みつつ、結局、パスタ単品で妥協した。

「決まったか?」

「はい」

私が頷くと、池松さんはスマートに片手をあげて店員を呼んだ。

「ご注文はお決まりでしょうか」

「タケノコのペペロンチーノと」

自分の注文をすませ、池松さんが視線で私を促す。

「厚切りパンチェッタの温玉のせカルボナーラで」

私がメニューを閉じてもまだ、池松さんはメニューを見ていた。
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