おじさんは予防線にはなりません
「あんまり人には教えたくないんだが、羽坂は特別な」

ふと引っかかってナイフフォークを持つ手が一瞬止まる。

池松さんは私をちょくちょく誘って、ふたりで食事に来るけどいいのだろうか。

それにいま、特別だとか。

池松さんに下心がないのはわかっている。
ただ単に私を労ってくれているだけだって。

でも、池松さんは既婚者で奥さんがいるのだ。
もし変な噂がたったら困る、なんてことはないのかな。

「その。
池松さんは、あの、私と噂になったらとか、その、」

「なに?
羽坂は俺と噂になりたいの?」

はっきり言うと自分の願望を言っているみたいで人が口を濁しているのに、ずばっと言い切られると一気に顔に熱が上っていく。

「……いえ、別に」
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