おじさんは予防線にはなりません
恥ずかしくてちまちまと、鉄板の上のコーンを一粒ずつフォークに刺してしまう。

「そっかー。
それはちょっと残念だなー」

……は?
残念ってなんですか。

思わず顔を見ると、池松さんは眼鏡をくいっと押し上げた。

「可愛い羽坂となら噂くらいならなってみたいよな」

ボフッとなにかが爆発した音がした。
池松さんは明後日の方角を向いて水を飲んでいる。
言って照れるのなら言わないで欲しい。

「ま、冗談だけどな」

「冗談ですか」

なぜか残念に思っている自分がいる。
でもそんなはずはないのだ。
相手は既婚者で、ずっと年上なのだから。
きっと気のせい。

「妻はもし俺が浮気しても、そんな甲斐性あったんだーってケラケラ笑うくらいで、気にしないから」
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